株式会社オーバースが企画運営する、WHITE SCORPION(当時IDOL3.0プロジェクト()の総合プロデューサーに秋元康氏の就任が決まったと伝わった時は、大きな話題となりました。
ただでさえ多忙を極める秋元氏が、直近では乃木坂公式ライバル「僕青」のプロデュースを兼ねながらも、WHITE SCORPIONを引き受けたことに「予想外だ」との声もあったほどです。
「web3.0の活用など斬新な試みに興味を抱いた」「オーバース側の熱心なオファーが功を奏した」などと表向きの理由ならいくらでも散見されますが、実はもう少し穿った見方もあるのです。
秋元氏は出資先の株価下落によって大きな損失(正確には含み損)を被った過去があるため、今回、暗号資産NIDTで捲土重来を期す気持ちがあるのではないかというのです。
要するに「株で失敗した過去を暗号資産NIDTで取り返したい」という考えがあるのではないか、ということです。
以下、詳しく解説していきます。
◆秋元康氏がWHITE SCORPIONのプロデュースを引き受けた主な理由は別記事で詳しく解説しています。
秋元康が過去に株で失敗?オーバースの暗号資産NIDTはリベンジ?
2018年6月、秋元康氏はKeyHolder(キーホルダー)という会社の特別顧問に就任、それと同時に新株予約権を取得しました。
新株予約権とは「あらかじめ決められた価格で株式を購入できる権利」のことですが、件のキーホルダー株は行使条件が少し複雑でした。
まずは、キーホルダー株で損失を被ったとされる経緯を見ていきます。
億を超える大損失?
【秋元康の新株予約権の権利行使条件】
新株予約権の行使期間 | 2018年7月24日から2028年7月23日まで | |||||||
権利行使条件 | 5日連続株価終値150円 | 30% | ||||||
株価の終値200円 | 60% | |||||||
株価の終値260円 | 100% | |||||||
1度でも62.5円を下回った場合 | 2028年7月23日までに125円で100%行使 |
参考:株式会社KeyHolder 「第三者割当により発行される新株予約権の募集に関するお知らせ」
この新株予約権は、1株当たり125円で約2500万株分を権利行使できるというものでした。
「株価が125円より高ければ利益を得られる」というメリットが大きい権利のはずでしたが、キーホルダー株は2020年2月に62.5円を下回ってしまいました。
これにより、秋元氏は62円の値を付けた2月末時点で、125円の株を62円で買わなければならない義務が生じてしまいました。
つまり、単純計算で15億円の価値にまで下がってしまった株を、30億円で買わなければならなくなったというわけです(=含み損マイナス15億円)。
もっとも、株価が62円の時点で約15億の含み損だったという話ですので、株価が次第に回復していった後は含み損も減っていったはずです。
KeyHolder(キーホルダー)株とは?
2018年6月に秋元氏が特別顧問に就任すると伝わった当初は、キーホルダー株はストップ高の184円(50円高)まで急伸しました。
その後も「笑っていいとも!」で知られる「キースタジオ(旧スタジオアルタ)」の運営や、SKE48の運営をAKSから引き継ぐなど、総合エンタテインメント系の持ち株会社として事業は盛んでした。
ところが、2020年に入ってから、新型コロナの影響でライブやイベントの延期・中止が相次いだため、株価は急落してしまったのです。
秋元康がとった苦肉の策
このまま株価が下がったままだと権利行使した時に大きな損失が確定してしまいますが、新株予約権はすぐに権利行使をしなければならないわけではありません。
行使期限の2028年7月23日までに、キーホルダー株が125円を上回れば含み損は解消できるわけですから、それまで気長に待つことも可能なのです。
とはいえ、期限までに株価が回復するかどうかは誰にもわかりません。
そこで、キーホルダー株の株価を何とか回復させるためにとられた策が、乃木坂46の運営共同出資会社ノース・リバーの全株式を株式会社KeyHolder(キーホルダー)に取得させる(買収させる)というものでした。
これにより、乃木坂46の経営権(持ち分50%)を株式会社KeyHolder(キーホルダー)が取得する形となったのです。
このような明確な意図を持って買収をさせたという確証はありませんが、当時「秋元氏の諸事情による買収で乃木坂のイメージが変わってしまう」などといった批判的な声は少なからずありました。
秋元康にとって暗号資産NIDTは魅力的?
ところで、そもそも秋元氏はNIDTを持っているのでしょうか。
「NIDTの初期分布」によると、発行されたNIDTの30%がプロジェクト報酬として、プロジェクトメンバーのインセンティブに使用されるとあります。
このプロジェクトメンバーの中には、総合プロデューサーも含まれると解するべきでしょう。
秋元康がNIDTを保有する意味
かつて株式会社KeyHolder(キーホルダー)のIRには、秋元康氏に新株予約権を付与した目的について以下のように記されていました。
当社は、秋元康氏に対して本新株予約権を割当てることにより、当社との結束力をさらに高め、秋元康氏の一層の意欲及び士気を向上させ、当社の企業価値向上に対するインセンティブを付与することを目的として、有償にて本新株予約権を発行いたします。
引用元:株式会社KeyHolder 「第三者割当により発行される新株予約権の募集に関するお知らせ」
つまり「仕事の成果がそのままインセンティブとなって反映されますよ」ということです。
これは、WHITE SCORPIONのNIDTにおいてもほとんど同じ理屈であり、秋元氏がNIDT保有者ならば、プロジェクトの成功がインセンティブとなって返ってきます。
これは、秋元氏のかつての新株予約権と同じように、プロデュース意欲及び士気が向上するような仕組みになっているのです。
新株予約権とNIDTの決定的な違い
本来であれば、キーホルダーの新株予約権によって秋元氏は大きな利益を得るはずでしたが、予想だにしなかった株価急落で、結果として逆に損失を被ってしまいました。
今回、WHITE SCORPIONのNIDTでも同じように利益を得られる機会を得たことになりますが、両者には決定的な違いがあります。
それは、NIDTは少なくとも自己資産が目減りするリスクがないということです。
報酬として分配されているとしたら、現物で保有している限り新株予約権の時のような損失を被ることはほぼありません。
もちろん、将来的に受け取ったNIDTの値が下がることはあります。
含み損を抱えた苦い経験はNIDTに活かされるか?
このように、かつて秋元氏は株で大きな含み損を抱えたことがありましたが、その失敗よりもその後のリスクマネジメントの手腕に注目すべきでしょう。
ノース・リバー社の買収は賛否ありますが、下表を見ると、その後のキーホルダー株の保有割合が徐々に減っていることがわかります。
引用元:バフェットコード
株価が上がったところで折を見て権利行使し、徐々に保有割合を減らしているのです。
秋元氏は、新株予約権の苦い経験がありながら、あえて暗号資産NIDTを活動資金とするWHITE SCORPIONの総合プロデューサーを引き受けました。
「暗号資産でリベンジ」とご本人が考えているかはわかりませんが、少なくとも同じ轍は踏まない自信があるのでしょう。
「I(investment)とは必然 危険とわかっても 惹き寄せられる I will always love you」
まとめ
- 秋元康はかつて株で大きな含み損を抱えたことがある
- 乃木坂株買収には賛否あるがその後の損失回避の手腕には注目すべき
- 株で苦い経験がありながら暗号資産NIDTの仕事を引き受けた意味は大きい
- 暗号資産をリベンジと考えているかは不明だが同じ轍は踏まない自信があるはず
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