2025年1月29日、IDOL3.0プロジェクトの最終審査で惜しくも合格を逃した17名が、本日、新グループ「Rain Tree」として、ついにデビューを果たしました。
この記事は、Rain Treeの記念すべきデビューシングル「I L U」のMVと歌詞についての考察ですが、解釈の仕方に正解はありません。
あくまで、ひとつの考え方として参考に「I L U」のMVを何度も視聴されてください。
Rain Tree デビュー曲「I L U」MVと歌詞を考察
砂嵐の役割
MVの初めから終わりまで「ひとつの同じ世界」だと認識して視てしまうと混乱するため、はじめに時系列を追い、この2つの世界を分けて考える必要があります。
そのための起点と終点になっているポイントがテレビの砂嵐です。
- レインツリーになれた世界(実際の世界)
- レインツリーになれなかった世界
廃墟から出られない二人
MV冒頭では、メンバー同士でお互いを撮影し合うなどして、楽しそうな廃墟のシーンでしたが、最初の「砂嵐」以降、二人だけを残して、他のメンバーは自分の居場所へ戻ってしまいます。
綾瀬ことり
綾瀬ことりは、ここから出ようと出口を探して走り回るのですが、見つけることができません。
最初は、ただ純粋に楽しい時間をひたすら享受し続けるだけの空間でした。
廃墟独特の暗く陰鬱な雰囲気と、時折流れ込んでくる微かな日差しによる明暗から、言葉にならない不安と焦りが伝わってきます。
鈴野みお
一方、鈴野みおは、とにかく廃墟から出たい綾瀬ことりとは違い、はっきりと行きたい場所はあるものの、どうしても入れてもらえず、そこへ行くことができません。
観葉植物とシェードランプは何を象徴する?
綾瀬ことりと鈴野みお以外のメンバーは、それぞれ独自の心情を投影するかのように、廃墟とは異なる場所へと移ります。
この時、メンバーのいる部屋には観葉植物とシェードランプが置かれている、あるいはその片方だけが置かれているのですが、これの意味するところは非常に重要なポイントになります。
レインツリーの名の由来「レインツリーは雨が降ると葉を閉じて耐え、日が出ると葉を開き…」を、もう一度よく思い起こせば、これらが何を象徴しているか、段々わかってくるはずです。
もう少し言えば、ここで描かれているのは、アイドルを目指しながらもチャンスが得られない苦悩や、その心情が投影された世界です。
メンバー同士で異なっている、植物やランプの大きさと数にも意味があります。
橋本真希が探しているものは?
橋本真希は、キッチンで必死に何を探しているのでしょうか。
キッチンの中をよく見てみると、窓から入り込む僅かな日差しとは別に、排気フードのステンレスに反射している光が、かすかに見て取れます。
前述した重要アイテムのひとつ、「植物」はあるのに「シェードランプ」のような明かりが、橋本真希のキッチンにだけ見当たらないことを考えると、探し物が何なのかは自ずと想像がつきます。
最大の謎 ラストの羊
多くの方が様々な考察を立てている「ラストの羊」ですが、島田大介監督は、どのような意図をもって、ラストにこのシーンを持ってきたのでしょうか。
実は、このMVで描かれている「別世界のストーリー」は、レインツリーメンバーが眠っているところから始まり、また、眠ったまま終わります。
羊はそのパラレルワールドへ誘うきっかけです。
つまり、キーワードは「夢」です。
アイドルになった彼女達が、夢の中で「もし、あの時、アイドルを志していなかったら」「もし、アイドルになれないままだったら」という世界を夢で見ている、という解釈になります。
ちなみに、この羊はMVの途中にも、あるメンバーの居場所に飾ってある様子が一瞬だけ映っています。
最後に紹介しますので、羊がどこに出てくるか気になる方は、この先を読み進める前に、もう一度MVを見返して、ご自分でも探して見てください。
その他の小ネタ
2000年1月のカレンダー
パソコンを打つ遠藤莉乃が、ふと目線をあげて見るカレンダーです。
なぜ、2000年なのかは明らかではありませんが、これをMV中の遠藤莉乃からみて、未来ととっても過去ととっても、現実のデビュー日、2025年とは離れすぎています。
従って、この世界はあくまで「虚構」であることが示唆されているのかもしれません。
カフェの装飾をよく見ると
新野楓果が働くカフェをよく見てみると、窓ガラスには「ILU」の3文字が。
ラストに登場する「謎の羊」は、実はここにいます。
ちなみに、ここでの新野楓果が皿を割ってしまうシーンは、本来予定になかったものだったとのこと。
佐藤莉華の雑誌
佐藤莉華が見ている雑誌には、顔のないレインツリーが載っていましたが、その前のページには、ヴィンテージのランプについて書かれた記事が載っています。
デビューしたばかりのレインツリーはまだまだ?
「日が出れば葉を開く」とされるレインツリーも、葉が茂っている部分はまだほんの少し、一部分だけのようです。
WHITE SCORPIONの『I do love you!』との関係性
最後に、少しだけ歌詞についての考察です。
レインツリーの「I L U」を聴いた時、WHITE SCORPION の6thデジタルシングル 『I do love you!』の歌詞にリンクする部分がある、と感じた方は多かったのではないでしょうか。
よくよく歌詞を聴き比べてみても、「僕」が「君」になかなか想いを言葉にして伝えられないなど、ほとんど同じ気持ちを歌っていることに、なんとなく気が付くはずです。
まるで、「アンサーソング」のようにも感じられますし、「I do love you!」と「I L U」はタイトル自体が、そもそもから同じものだとも言えます。
これは、作詞した秋元康氏に何か想うところがあったのでしょうか。
「僕たちはもう何年になる?」
そう歌いつつも、変わらない「僕」と「君」との関係性が、ようやくデビューできたレインツリーに対して「今からでも遅くはないんだよ」と示す意図が込められたように感じられてなりません。
2025年1月29日、Rain Tree17名の皆さん、デビュー本当におめでとうございます。
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